映像制作 / 業務自動化・制作ソフトの操作補助
車の記録から制作ソフトまで、本業の時間を生む5つのAI活用。
VFXを得意とする映像制作会社の鎌田康介さんが、Claude Code・Codexで社用車の走行記録、朝礼のタスク整理、カットリスト作成を改善。Stream Deckの自作プラグインや制作ソフトの操作まで、対面での実践とその後の進捗を紹介します。
鎌田康介さん受講生の実務への取り組み
VFX制作の時間を増やすために、社長自身が繰り返していた仕事を一つずつAIへ任せる。 AI Crewの鎌田康介さんは、社用車の走行記録から始めて、カットリスト作成、手元の操作デバイス、本業の映像制作ソフトへと活用を広げています。
映像制作会社のAI活用事例
鎌田さんは、Claude Code・Codexを使って、会社の管理業務とVFX制作に関わる作業を改善しています。自分の作業を減らすだけでなく、従業員が使う仕組みや、自分の操作環境まで作り変えている進捗事例です。
本記事で紹介するのは、素材を各案件の契約に沿って取り扱うことを前提とした、業務整理や制作ソフトの操作補助です。映像そのものをAIで生成する事例ではありません。繰り返しの作業にかかる時間を減らし、VFXの表現づくりや制作上の判断に時間を回すための取り組みです。
まず見ていただきたいのが、このStream Deckです。市販の操作デバイスに、鎌田さんがCodexと作ったプラグインを入れています。AIが承認待ちになったことを、手元のボタンで確認できるようにしました。

鎌田さんが9月に共有してくださった実物写真。表示は撮影時点のものです。
映画・テレビのVFXを手がける鎌田さん
鎌田康介さんは、レディバグエフェクト合同会社として活動する、VFXを得意とする映像制作会社の経営者です。VFXは、実写にCGや別の映像を組み合わせるなどして、作品に必要な映像表現を作る仕事です。
Level Boostの講師紹介では、『君の膵臓をたべたい』『フォルトゥナの瞳』などへのVFXスーパーバイザーとしての参加が紹介されています。映画.comの作品情報にも、担当作品が掲載されています。
これらの作品名は、鎌田さんのVFXスーパーバイザーとしての経歴を紹介するものです。各作品で今回のAI活用を行ったことを示すものではありません。 ここから紹介するのは、AI Crewで学びながら進めている業務改善の取り組みです。
鎌田さんは撮影現場にも立ち会い、後の合成に必要な素材や、完成したときの見え方をすり合わせています。AIで増やしたいのは、こうした本業に使える時間でした。
AI Crewを運営しているみやっち🧑💻は、7月のオフィスアワー、8月のオフ会、9月の全体ライブで、その進み方を見てきました。今回は、10月13日までのご本人の報告も合わせて、5つの実践を紹介します。
1. 車のメーター写真から、走行記録を入力する
最初の題材は、社用車の走行記録でした。従業員からLINEでメーターの写真が届き、鎌田さんが数字を見ながら記録へ転記する。小さく見えても、繰り返し発生する仕事です。
7月9日のオフィスアワーでは、写真の置き場をGoogle Driveにまとめ、AIに写真を渡してGoogleスプレッドシートへ入力させる流れを、一緒に具体化しました。鎌田さんがClaude Codeに伝えたのは、スマホの写真をもとに、表の最後へ走行記録を追加してほしい、という依頼です。
その場で、実際に表へ入力されたところまで確認できました。写真を鮮明に撮ることなど、改善点を見つけながらの第一歩です。
その後、8月の報告では従業員のスマホから処理できる仕組みとして運用が始まり、8月29日には「手離れしました」と話されていました。社長が毎回入力する仕事から、従業員が使える仕組みへ進んだのです。
2. 朝礼の議事録から、社員ごとのタスクを整理する
もう一つ、日々の負担になっていたのが朝礼後のタスク整理です。
鎌田さんは、Google Meetで行う朝礼の書き起こしを残していました。鎌田さんは、その内容から各社員のToDoを振り分ける処理をClaude Codeで作りました。以前は自分で毎日行っていた振り分けを、Claudeに任せるようになったといいます。
車の記録も、朝礼後の整理も、一つだけで会社全体が変わるような大きなシステムではありません。それでも、鎌田さんは8月の時点で、細かな処理を任せられるようになったことが積み重なり、忙しい映像案件へ対応する時間を取れたと話されていました。
毎回自分がやっていることに気づき、AIへ任せられる形にしていく。 この見方が、制作業務にもつながっていきます。
3. 写真・動画のサムネイルを、Excelのカットリストへまとめる
映像制作では、どのカットに何が映っているかを一覧で確認するために、画像付きのカットリストを作ります。鎌田さんが手間を感じていたのは、画像を表のセルへ一つずつ貼っていく作業でした。
8月29日のオフ会でCodexを使い、フォルダ内の画像や動画からサムネイルを作り、Excelでリスト化するアプリを制作しました。素材から一覧を作る一連の処理を、まとめて進めるためのものです。
当日はサムネイルを抽出するアプリがいったんでき、さらに画像内の文字も読み取る改善を進めていました。9月には微調整を加え、従業員に実務で使ってもらう段階へ進んでいます。
ここで作ったのは、映像制作の現場で実際に必要な一覧表を作る道具です。普段の業務をよく知っている本人が、面倒な工程をそのまま題材にできるところに、自作の強みがあります。
4. Stream Deckを、AIの状態が見える操作盤にする
鎌田さんらしい工夫が、手元の入力・操作環境にもあります。
Claude Code・Codexを動かしながら別の仕事をしていると、AIが確認待ちで止まっていても気づかないことがあります。使用量を知るために、毎回確認しに行くのも手間でした。
そこで、もともと持っていたStream Deck +の表示と物理ボタンを、自分仕様に変えました。9月に共有してくださった写真では、ClaudeとCodexの使用量がボタンに表示されています。

使い慣れた機器に、AIの状態を確認する機能を追加。標準搭載の表示ではなく、自作プラグインです。
9月24日の全体ライブでは、画面共有で次の仕組みを見せてくださいました。
- AIの使用量や、承認待ちの状態をボタンに表示する。
- ボタンを押すと、対象のCodexセッションを開く。
- AIから選択肢が出たときは、ボタンの表示を切り替え、物理ボタンで選べるようにする。
ライブではテスト用の表示も使い、動きを示していました。選択肢のデモは表示・操作のテストで、その場で実際の作業への回答を送ったものではありません。
鎌田さんは、自作すると「もう少しこうしたい」という融通が利くのがうれしい、と報告されています。AIに仕事を頼むだけでなく、自分がAIへ返事をする方法まで、仕事に合わせて作る。映像制作の道具を使い込んできた方ならではの工夫だと感じます。
5. After Effects・DaVinci Resolve・Blenderの操作を、Codexで補助する
そして、当初から目指していたのが、本業で使う制作ソフトの操作です。
9月のライブでは、After EffectsとAIをつなぐMCPサーバーをCodexと自作し、検証している段階でした。MCPは、AIアプリと外部のツールやデータをつなぐための共通規格です。ただし、この時点で自作MCPサーバーはまだ実務に使える状態には至っていませんでした。
その後、10月13日の報告で進め方が変わります。検証の量が膨大になった一方、MCPサーバーを作らなくても作業を進められることが分かり、自作MCPサーバーはいったん中断して、実務へ落とし込む方へ舵を切ったそうです。
After Effects・DaVinci Resolve・Blenderの操作をCodexで補助し、実際の業務に使えるようになってきた、というのが現在地です。ここでのAIの役割は制作ソフトの操作補助であり、映像そのものの生成ではありません。素材の取り扱いは、各案件の契約に沿うことが前提です。バックオフィスはClaude、映像業務はCodexという、ご自身の仕事に合った役割分担もできてきました。
MCPやComputer Useは、仕事を進めるための手段
AIから普段のソフトを操作する経路には、MCPで機能を呼び出す方法に加え、Computer Useのように、画面を見ながらクリックや入力を行う方法もあります。MCPは接続の規格、Computer Useは画面を通じた操作の方法で、同じ意味ではありません。(MCP公式説明/OpenAIのComputer Use説明)
鎌田さんの報告で確認できるのは、MCPサーバーの自作にこだわらず、制作ソフトを使った仕事を進める方向へ切り替えたことです。
今ある仕事が進む方法を選び、必要になった部分を作り込む。 この判断も、実際に手を動かしたからこそ得られたものです。
対面で進め方をつかみ、次は従業員にも広げる
7月にオフィスへ来られたとき、鎌田さんはAIにどう依頼して実装へ進めればよいか、イメージが湧きにくかったと話されていました。目の前の走行記録を題材に、進め方を一緒に確認するなかで、「ちょっと見えてきました」という反応がありました。
8月には、オフィスで進め方が分かってから、曖昧だったことが晴れ、Claude Codeを触るようになったと振り返られています。そこから従業員が使うアプリ、素材の一覧化、物理ボタン、制作ソフトの操作へと広がっていきました。
10月の目標は、ご自身が進めてきた業務改善を従業員にも広げること。ClaudeとCodexで作業の記録を共有する方法も試しています。本人が使えるところから、会社で続けて使うところへ進めている最中です。
みやっち🧑💻がこの事例でお伝えしたいのは、自分の専門業務を知っていることが、そのままAI活用の題材になるということです。鎌田さんは、VFXの経験から日々の負担を見つけ、Claude Code・Codexで改善するものを決めています。
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