会社の管理部門 / 経理・IPO準備の業務フロー
経理の分析から、稟議の承認まで。
SaaS企業の管理部で上場準備の経理を担うJunnnさんが、Claude CodeでPL・BSの増減分析と消費税区分の分析をエージェント化し、稟議をSlackで申請・承認できるフローづくりを進めた実録。判断は人に残して転記と集計をAIに渡す線引きと、いまThreadsで発信している始め方の順番を紹介します。
Junnnさん受講生の実務への取り組み
AIの学校「AI Crew」を運営しているみやっち🧑💻です。この記事は、SaaS企業の管理部で経理を担当しながら、月次の分析と稟議の流れをAIで仕組みにしようとしてきた受講生、Junnnさんの実録です。派手なアプリではありません。毎月同じ手順で繰り返す経理の確認作業を、どこまでAIに渡し、どこを人に残したか。その線引きの話です。
Junnnさんの実績: Junnnさんは、SaaS企業の管理部で経理を担当しています。税理士事務所で3年、上場準備の経理で4年の経験があります。AI Crewでは会員サイトの教材をほぼ見終え、Claude Code(クロードコード)を経理の実務に使っています。GAS(Google Apps Script)やHTMLを生成して作業を自動化し、結果をダッシュボードで共有。PL・BSの増減分析と消費税区分の分析はエージェント化して自動で実行し、上場後に求められる内部統制報告制度(J-SOX)を見すえて、稟議をSlackから申請・承認できるフローの構築を進めていました。いまはThreadsで「ラクリ」の名前で経理のAI活用を発信し、バックオフィス向けのオープンチャットを運営しています。
この記事は、Junnnさんが受講生としてみやっち🧑💻へLINEで送ってくれた報告(AI Crewの受講生事例として以前から紹介している内容)と、Junnnさんが公開しているThreads、運営しているオープンチャットの紹介ページ(いずれも2026年9月17日時点)をもとに構成しています。発言は読みやすさのために整えています。記事中の時間や日数の数字はご本人が公開しているもので、AI Crewが検証した値ではありません。ここで紹介する成果はご本人の実績であり、同様の成果を保証するものではありません。
経理のAI活用は、どこから効くのか
Junnnさんの報告は、会員サイトをほぼ見終えたという近況のあとに、経理の現場で見えている現実が続いていました。
中小企業で経理業務をAIエージェントを使ってやるとなったら、単体のタスクの実行はかなり有効的だと思いますが、経営陣や他の部署に共有する際の経理状況は、結局スプレッドシートやエクセルをデータベースとして管理し、それをスプシであればHTMLを組んで可視化したダッシュボードを作成して共有することが、今の業務の主になっています。(Junnnさん)
AIが1つの作業を速くするのは確かです。ただ、経理の数字は自分の手元で終わりません。経営陣と他部署に渡すところまでが仕事で、そこでは今もスプレッドシートとエクセルが共通言語になっています。Junnnさんは、この前提を崩さずにAIを置く場所を選んでいました。
Claude Codeで試した2つの使い方
報告に書かれていた経理業務での使い方は、次の2つです。
- GASやHTMLを生成して作業を自動化し、結果を可視化して共有する。スプレッドシートを置き換えるのではなく、スプレッドシートを動かすGASと、それを見やすくするHTMLのダッシュボードをClaude Codeに書かせる形です
- PL・BSの増減分析と、消費税区分の分析をエージェント化して自動で分析する。増減分析は、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の各科目を前の月や前の年と比べ、大きく動いたものの理由を確かめる月次の確認作業です。消費税区分の分析は、取引ごとの課税・非課税・免税・不課税といった区分に誤りがないかを見る作業です
どちらも、経理の担当者が毎月同じ手順で繰り返し、見る観点がほぼ決まっている作業です。みやっち🧑💻から見ると、ここがAIに渡しやすい理由です。手順と観点を言葉にできる作業は、AIに手順書として渡せます。Junnnさんの言う「単体のタスク」も、こうした作業のことだとみやっち🧑💻は受け取っています。
このうちスプレッドシートで回っている作業をAIに任せる考え方は、ExcelのAI自動化でも、社労士事務所の実例と並べて紹介しています。
稟議を、Slackで申請・承認できるようにする
もう1つの取り組みは、会社の仕組みそのものに関わるものです。
IPO準備企業なので、規程作りやJ-SOXに沿った運用で、稟議申請のワークフローをSlack経由で申請・承認出来るようなフローを構築してます。(Junnnさん)
上場企業には、財務報告に関わる社内の手続き(内部統制)を整えて評価し、その報告書を提出して監査法人などの監査を受ける制度があり、いわゆるJ-SOXと呼ばれます。上場を目指す会社は、その準備として社内規程や決裁の手順を整えていきます。Junnnさんは、規程に沿った稟議の申請と承認を、Slackから行えるフローづくりを進めていました。
本人が公開している数字
Junnnさんがオープンチャットの紹介ページで「運営している人」として載せている数字は、次の3つです。
- 月次決算にかかる営業日数: 10日から5日
- 稟議まわりの転記・回付を手放して: 月40時間を削減
- 経験: 税理士事務所3年と上場準備の経理4年で、合わせて7年
ページには、それぞれの数字がどの取り組みから出たものかまでは書かれていません。同じページで、Junnnさんは自分のことを「もともとスプレッドシートで四則演算しかできない経理担当」だったと書いています。関数を覚え、データの持ち方を覚え、そこからAIに作業を渡せるようになるまで遠回りをした、と。最初から道具に強かった人ではありません。
Threadsでは、Claudeを「Googleのファイルを直接さわれるようにしてあって、あとは日本語で頼むだけ」で使い、月に15時間くらいが戻ってきたと書いています。挙げている作業は次のとおりです。
- 毎日の会議の議事録。文字起こしから、決まったこととやることだけを抜いて、いつもの形に整える(1日30分が消え、月に10時間戻った)
- 毎月の上司への月次レポート。シートの数字を決まった形に流し込む(作り直しの2時間がゼロ)
- スプレッドシートのデータ加工。出したままのデータを、いつもの並びと書式に整える(毎週20分が消える)
- 社内アンケート。聞きたいことを伝えるだけでフォームができる(1回40分が消える)
- 各月の作業フォルダ。毎月同じ構成を、日付だけ変えて用意する(毎月15分が消える)
どれも地味で、どの会社の管理部にもある作業です。
判断は、人の手元に残す
Junnnさんの発信で一貫しているのは、AIに渡すものと渡さないものの線引きです。オープンチャットの紹介ページでは、始め方の2番目に「判断だけ手元に残す」を置いています。金額を決める、承認する、確認する。判断は人が持ったまま、転記・整形・集計だけをAIに渡す、という順番です。同じページの注意書きには、AIに任せきる方法は扱わない、とはっきり書かれています。
Threadsの投稿でも、自動にした作業について「中身が合ってるかは最初の1回だけ確かめてください」と添えています。
経理でAIを使うとき、みやっち🧑💻が一番大事だと思うのはこの線引きです。数字の誤りは会社の判断を誤らせます。AIが速く動ける作業と、人が責任を持つ判断を分けておけば、AIに渡す範囲を少しずつ広げても、会社の数字を預かる人の立場は崩れません。承認は人が行うまま、申請と承認の流れをSlackに載せようとしたJunnnさんの稟議の取り組みも、その形になっています。
学ぶ側から、発信する側へ
Junnnさんは今、Threadsで「ラクリ|明日から使えるAI活用法」の名前で発信しています。2026年9月17日時点のフォロワーは975人です。
ピン留めの投稿では、AIを仕事で使いたいのに何に使えばいいか分からない、触ったが続かなかった、会社で使っていいのか分からない、のどれかで止まっている人のためにオープンチャットを作ったと書いています。参加した人には、バックオフィスの作業をAIに任せる事例50個と、Claude Codeのセットアップ方法を渡しているそうです。
受講生としてLINEで報告をくれたJunnnさんは、今は同じ悩みを持つ事務職の人に向けて、自分の職場で試して結果が出た手順を渡す場を開いています。
経理担当がAI活用を始める順番
Junnnさんがオープンチャットの紹介ページに載せている「手作業を、仕組みに変える4ステップ」は、経理でAIを使い始める人がそのまま使える順番です。
- 作業を書き出す。毎月・毎週おなじ手順で繰り返している作業を、思いつくまま並べる
- 判断だけ手元に残す。金額を決める・承認する・確認するは人が持ち、転記・整形・集計だけをAIに渡す
- まず一つ試す。いきなり全部は変えず、10分で終わる作業をひとつ選んで試す
- 手順として残す。うまくいった指示文をマニュアルとして残し、次からはそれを開くだけで同じ結果にする
4番目は、AI Crewの業務基盤の教材で扱うSkills(AIに渡す手順書)と同じ考え方です。うまくいった頼み方を手順書として残しておくと、次から同じ作業を同じやり方で任せられます。一度きりの便利な使い方で終わらせず、会社の手順として残る形にするところまでが、仕組みにするということです。
この実例が効くのは、どんな人か
- 経理・労務・総務など、毎月同じ手順の作業を抱えている会社員の方。まずは手順と見る観点が決まっている確認作業から、AIに渡せる
- 上場準備や内部統制の整備で、承認と記録の手間が増えている管理部の方。稟議の流れを、チャットツールの上で仕組みにする選択肢がある
- AIに経理の数字を任せるのが怖くて、止まっている方。判断は人に残し、転記・整形・集計だけを渡す。その線引きから始めれば、責任の持ち方は変わらない
Junnnさんが特別だったのは、道具の知識ではありません。経理の数字が最後に誰の手に渡るかを分かったうえで、AIを置く場所を選んだことです。
AI Crewの講座はClaude Code・Codexの両方に対応しており、受講生は経営者・個人事業主・士業・会社員まで、ほぼ全員が非エンジニアです。ほかの受講生の実例はClaude Code活用事例に、講座そのものの説明はAI Crewとはにまとめています。
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