ExcelのAI自動化|転記・突合・チェックを任せる実例【社労士事務所とSaaS経理の現場から】
毎月のExcel作業——別システムからの転記、2つの表の突き合わせ、集計表づくり——に何時間も使っていませんか。この種の作業は、関数もマクロも覚えずに、AIに任せられる時代になっています。みやっち🧑💻は公認会計士試験の合格者として数字まわりの実務に関わってきた立場から、社労士事務所とSaaS企業経理、2つの現場でAIによる自動化を検証・取材しました。文章生成AIの話とはまったく別の、地味で確実な効率化の実例で解説します。
ExcelのAI自動化とは: Excel作業のAI自動化は、Claude CodeやCodexのような実行型AIエージェントに、転記・突合・集計・チェック表作成といった作業そのものを任せることです。ExcelのCopilot機能のような「表の中での補助」と違い、複数のファイルやシステムをまたぐ作業を一気通貫で進められるのが特徴で、関数やマクロの知識は必要ありません。
Excel業務の時間泥棒は「表計算」ではなく「表の外」にいる
Excelで消えている時間を分解すると、意外なことに気づきます。SUM関数が書けなくて困っている人はほとんどいません。時間を奪っているのは、次のような表の外側の仕事です。
- 別のシステムの画面を見ながら、Excelに手で転記する
- クライアントから来たExcelと、自社システムの出力を目視で突き合わせる
- 毎月同じ形式の集計表を、コピペで作り直す
- ファイルがバラバラに届くので、開いて確認してフォルダに整理する
ここがAIエージェントの出番です。対話型AIに「関数を教えて」と聞く使い方との違いは、Claude CodeとChatGPTの違いで解説しています。
実例1: 社労士事務所の給与計算チェック(目視の突合をチェック表に)
みやっち🧑💻がリード社会保険労務士法人を訪問して、現場の手作業をその場でダミーデータ検証させていただいたときの実例です(検証の全記録はこちら)。
対象は給与計算のチェック業務でした。クライアントから受け取ったExcelデータと、給与計算ソフトの出力結果を突合し、差分を洗い出す——これまで紙に印刷して1行ずつ目視確認していた作業です。この検証では、Claude Codeに任せると差分を機械的に洗い出してチェック表にするところまで進みました。人間は「洗い出された差分が妥当か」の判断に集中できる設計です。目視は件数が増えるほど見落としリスクが上がるので、これは時短と同時に品質の話でもあります。
実例2: SaaS企業の経理が増減分析を自動実行に変えた
AI Crew受講生で、SaaS企業の管理部に勤めるJunnnさんの実例です(受講生の実績一覧でも紹介しています)。使っているのはExcelではなくGoogleスプレッドシートですが、表計算ソフトの手作業をAIに任せるという考え方は同じです。PL/BS(損益計算書・貸借対照表)の増減分析や消費税区分の分析を、繰り返し動くエージェントの形にして自動実行しています。GASやHTMLの生成もAI任せで、結果はダッシュボードで可視化して共有。月次で必ず発生する分析業務が、「毎回やる作業」から「毎回確認する出力」に変わっています。
最初の1歩: 「2つの表の突き合わせ」から始める
自分の業務でどこから始めるか。おすすめは突合(2つの表の突き合わせ)です。理由は3つあります。
- 手順の言語化が簡単 — 「このファイルのA列とこのファイルのB列を照合して、一致しない行を一覧にして」で伝わります
- 効果がすぐ数字で分かる — 目視30分が数分になります
- 間違いに気づきやすい — 元データが残っているので、AIの出力を検算できます
進め方は、ダミーデータや過去の締め済みデータでまず試すこと。いきなり当月の本番データでやらないでください。そして最初の数回は、従来の目視チェックと並走させて、結果が一致することを確かめてから乗り換えます。
注意点: 数字の業務だからこそ「検算の設計」まで含めて任せる
会計・給与・請求のExcelは、間違いがそのままお金の間違いになります。保守的に、次の3つを守ってください。
- AIの出力を無検算で信じない。「合計が元データと一致するかも一緒に出して」のように、検算をアウトプットに含めさせる設計にします
- 個人情報を含むファイルの扱いは慎重に。給与データなどを扱うなら、入力が学習に使われない商用プランの検討や、扱う範囲の限定から始めてください。考え方はClaude Codeのセキュリティに整理しています。自社の規定や顧問契約によって可否は変わるので、必要に応じて専門家に確認を(本記事は法的助言ではありません)
- 判断はAIに渡さない。差分を出すのはAI、その差分が正しいかを決めるのは人。この線引きが崩れると事故になります
うまくいったら、手順書化して毎月の仕事から消す
突合が一度うまくいったら、その手順をSkills(手順書)として保存してください。翌月から「先月と同じ突合やって」の一言になります。さらに定期実行に載せれば、毎月1日に自動で走る仕組みにもできます。Excel作業は毎月必ず戻ってくるからこそ、1回の自動化が毎月効き続けます。
行き着く先は「毎月やるExcel業務」を握った自分専用の分身
ここまでの突合・転記・集計を1つずつ手順書にしていくと、行き着く先が見えてきます。毎月の集計・転記・整形を1行ずつ手作業で回していた状態から、自分の処理手順と判断基準を覚えたエージェントが、いつものExcel業務を丸ごと動かし、自分は出てきた結果を確認するだけの状態へ——今回の社労士事務所の突合も、SaaS経理の増減分析も、行き着く先はここです。
この状態は、Excel業務の任せ方を選びます。対話型AIに関数を聞くだけなら賢い辞書は手に入りますが、作業そのものは自分の手に残ったままです。人を雇えば、教える手間と属人化がまた増えます。汎用の自動化SaaSは決まった型の処理は速くても、あなたの事務所だけの突合ルールや、この数字が動いたら注記を入れるといった固有の判断までは再現できません。実行型のClaude Codeのようなエージェントに、自分の手順と判断基準そのものを読み込ませる形だけが、あなた専用の分身になります。だからこそ、無検算で信じないという線引きさえ設計すれば、任せられる範囲が毎月広がっていきます。
そしてこの分身は、自分の業務データ・処理手順・判断基準を自分の手で握っている経営者・個人事業主・士業ほど深く効きます。任せたい業務も、正解を判定できる目も、あなたの中にあるからです。会社員の方でも、担当している月次業務の手順を自分で説明できるなら同じ入り方ができます。
自分の事務所・自社のExcel業務のどれが任せられそうか、具体的に洗い出したい方は、まず無料セミナーでお会いしましょう。