AIに法律・税金のことを聞くときの確認方法|公式出典98件で教材100枚を作って決めた3つのルール

先に結論です。生成AIに法律・税金のことを聞くのをやめる必要はありません。聞いてよいです。ただし、AIの答えをそのまま使わず、自分で国税庁・e-Gov法令検索の原文に当てる前提で聞いてください。当て方は3つあります。①出典を番号・条文で出させる ②金額の基準と期限に名前を付けさせる ③制度で決まる税金と依頼先で変わる料金を分けさせる。この3つを通したうえで、最後は税理士・社労士・弁護士などの専門家に確認する、という順序です。

AIに法律・税金のことを聞くときの確認方法とは ChatGPT・Claude・Claude Code・Codexなどの生成AIが出した制度の説明を、使う前に国税庁のタックスアンサー(番号つき)やe-Gov法令検索の条文と照らし合わせる手順です。AIの回答に出典の番号・条文・確認日を付けさせ、金額の基準には「何の判定か」、期限には「書類名と対象年」を添えさせ、制度で決まる税金と依頼先で変わる料金を分けて書かせると、取り違えに気づきやすくなります。

みやっち🧑‍💻は2026年10月、会員向けの教材「スモールビジネスの教科書」100枚を、Claude Code・Codexに下書きさせて作りました。副業から個人事業主、法人化までの事業形態・税金・社会保険・窓口・契約を扱う内容で、公式出典98件を台帳にし、公認会計士試験合格者であるみやっち🧑‍💻自身が100件超の指摘を入れ、Claude Code・Codexに公式出典へ当て直させて直しています。この記事は、その作業で決めた確認のルールを、個人事業主・士業・一人社長が自分で使える形にしたものです。制度の中身を解説する記事ではなく、AIの答えをどう確かめるかの記事です。Claude Code・Codexに限らず、ChatGPTやClaudeのアプリで聞くときも、同じ確認が要ります。

AIの法律・税金の答えは、どこで取り違えが起きるのか

AIの答えは文章として整っているので、間違っていても間違いに見えません。教材の下書きで実際に直した箇所を振り返ると、取り違えが起きる場所は3つに集まっていました。

  • 出典がない: 「一般的に」「通常は」で始まり、どの制度・どの条文の話かが示されていない
  • 数字に名前がない: 「20万円」「3か月以内」のような金額・期限が、何の判定に使う数字か、何の書類の期限かを添えずに置かれている
  • 料金と制度が混ざる: 法律で決まる税額や手数料と、依頼先によって変わる専門家の報酬が、同じ表に並んでいる

AIの答えが毎回少しずつ変わる理由は生成AIの回答に再現性がない理由に書きました。答えの側が毎回変わるからこそ、確かめる手順の側を固定しておく必要があります。3つのルールは、上の3か所にそれぞれ対応しています。

教材100枚を作るときに、何をやったか

  • 出典台帳: 公式出典98件を一覧にし、台帳全体の確認日(10月19日・25日)に加えて、再確認した出典には個別の確認日(2026年10月22日・25日)を付けました。種類は、国税庁のタックスアンサー(番号つき。青色申告制度 No.2070、青色申告特別控除 No.2072、登録免許税の税額表 No.7191 など)、国税庁の各手続ページ、e-Gov法令検索の条文(会社法・民法・登録免許税法など)、厚生労働省、日本年金機構、中小機構、東京都主税局、消費者庁、各サービスの公式料金ページです
  • 条文番号までの確認: 会社法・登録免許税法の条文はe-Gov法令検索のAPIで条文番号まで確認しました。取締役の報酬なら会社法361条、という粒度です
  • レビューの記録: みやっち🧑‍💻の指摘は旧68件に追加分を足して100件超。指摘ごとに「修正後のページ・対応内容」を記録しました。10月19日時点で77枚、再構成を経て10月25日に100枚になっています
  • 内規化: 直した内容のうち次回も効くものは、制作ガイドのファイルに内規として書き足し、Claude Code・Codexが下書きのたびに読む形にしました

ルール1:出典を番号・条文で出させて、自分でそのページを開く

AIへの依頼に「国税庁タックスアンサーの番号」「e-Gov法令検索の法令名と条文番号」「確認日」を回答に付けること、と書きます。付いてきた番号は、自分でそのページを開いて読みます。番号のページに書かれていない説明が混ざっている、という形で取り違えが見つかります。「一般的に」「通常は」で終わる回答は、そのままでは採用しません。

修正例・開業届と青色申告承認申請書: 下書きには、開業届を先に出さないと青色申告ができないように読める説明がありました。国税庁の手続ページを2つ並べて確かめると、個人事業の開業・廃業等届出書は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」(2026年1月1日施行の改正で、以前の「開業から1か月以内」から変わっています。2026年11月5日に国税庁のページで確認)、青色申告承認申請書は「原則としてその年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内」と、対象も様式も期限も別の手続きでした(青色申告の期限はタックスアンサーNo.2070でも確認)。教材では「役割の違う独立した2つの手続き。開業時に同時に出す例」と書き直しました。

ルール2:金額の基準には「何の判定か」、期限には「書類名と対象年」を添えさせる

20万円、1,000万円、2年前、3か月以内。制度の説明に出てくる数字は、単体で覚えると別の判定に当てはめてしまいます。依頼文には、金額の基準に「何の判定に使う数字か」、期限に「書類名・対象年・起算日」を必ず添えること、と書きます。数字だけが独り歩きしない形で出させるのが目的です。

修正例・20万円は何の基準か: 下書きでは、20万円に何の判定の数字かが添えられておらず、開業や事業所得の判定額とも読める状態でした。国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」に当てると、20万円は、給与を1か所から受けていてその給与の全部が源泉徴収の対象となる人の、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要になる、という判定の数字でした(給与を2か所以上から受けている人の判定にも同じ20万円が出てきます。細かな例外は同じページに注記があります)。教材では、金額の前に「何の判定か」を書く形に統一しました。

修正例・役員報酬の3か月: 「設立後3か月以内に支給を開始する」という一律の補足が下書きに付いていました。国税庁タックスアンサーNo.5211(役員に対する給与)を開くと、「3か月」は定期同額給与の額の改定について、会計期間開始の日から3か月を経過する日までに行う改定、という文脈で出てくる数字で、設立後3か月以内に支給を始めるという記述はありませんでした。報酬の決め方は、e-Gov法令検索で会社法361条を引き、定款に定めがなければ株主総会の決議で定める、という別の話として分けました。「月末締め翌月25日払い」は会社が選ぶ実務の例で、法律で統一されたルールではない、とも書き添えています。

ルール3:制度で決まる税金と、依頼先で変わる料金を分けさせる

法律・税法で決まる税額や登記の手数料と、税理士・司法書士などの報酬は、決まり方が違います。前者は条文や国税庁のページに当たれば確かめられ、後者は依頼先と作業量で変わります。依頼文には、この2つを同じ表・同じ文に並べないこと、報酬の例を出すときは「試算用の仮定」と明記すること、特定の事務所の公開料金を相場と言い換えないこと、関係のない事務所名を推奨先として出さないこと、を書きます。

修正例・税理士費用: 法人化の章の費用比較(維持費の表や税理士の選び方)で、下書きには特定の事務所の公開料金と事務所名が、料金例・推奨先として入っていました。教材では、税理士費用を「年330,000円」という試算用の仮定に統一して相場とは書かず、料金例・推奨先として出ていた事務所名は、みやっち🧑‍💻が確認したうえで削りました。登録免許税のように法律で額が決まるもの(タックスアンサーNo.7191)とは、分けて書いています。330,000円は教材で採用した仮定であって、相場でも一般的な料金でもありません。

コピーして使う依頼文(本記事用に作った例)

次の依頼文は、3つのルールをAIへの指示に落としたものです。本記事用に作った例で、教材の制作でそのまま使った文面ではありません。Claude Code・Codexなら作業フォルダの CLAUDE.md・AGENTS.md に置いて毎回自動で読み込まれる形にでき、ChatGPT・Claudeのアプリなら会話の冒頭に貼って使えます。

あなたは、個人事業主向けの制度説明の下書きを手伝う役です。
法律・税金に関する説明を書くときは、次の3つを必ず守ってください。

1. 出典を番号・条文で示す
   - 国税庁のページはタックスアンサーの番号(例: No.2070)か手続名、
     法令はe-Gov法令検索の法令名と条文番号(例: 会社法第361条)を、
     説明のすぐ後ろに付ける。
   - 出典のURLと、あなたが確認した日付を添える。
   - 出典を示せない内容は「出典未確認」と明記し、
     「一般的に」「通常は」で言い切らない。

2. 金額の基準と期限に名前を付ける
   - 金額の基準には「何の判定に使う数字か」を必ず添える。
     (例: 給与所得者の確定申告が必要かどうかの判定)
   - 期限には「書類名」「対象年」「起算日」を必ず添える。
     (例: 青色申告承認申請書・2027年分・開業日から2か月以内)

3. 制度と料金を分ける
   - 法律・税法で決まる税額や手数料と、依頼先や作業量で変わる
     専門家の報酬を、同じ表や同じ文に並べない。
   - 報酬の例を出すときは「試算用の仮定」と明記し、
     特定の事務所の公開料金を相場と言い換えない。
   - 関係のない事務所名を推奨先として出さない。

最後に、書いた内容を「法律・税法で決まっていること」
「当事者が契約で決めること」「あなたの提案」の3つに分けて一覧にしてください。
私はその一覧を国税庁・e-Gov法令検索で照合してから使います。

【聞きたいこと】
(ここに、自分の事業の状況と知りたいことを書く)

確認に時間をかけるなら、AIに聞く意味はあるのか

あります。時間の使い道が変わるからです。

  • これまで: 検索で出てきた解説記事を読み比べ、どれが正しいか分からないまま数字だけ覚える。制度を調べる時間の大半が「探す」に消える
  • 3つのルールの後: 下書きと出典番号はAIに出させ、自分の時間は「開いて照合する」と「自分の事業ではどうか判断する」に使う。教材100枚では、下書きと公式出典への当て直しはClaude Code・Codex、指摘と採否の判断はみやっち🧑‍💻、という分担で100件超の指摘を直しました

チャットの画面でも同じ確認はできます。ただ、出典台帳と内規をファイルとして置き、次の下書きにも効かせたいなら、作業フォルダごと扱うClaude Code・Codexの方が向いています。教材の制作で内規を制作ガイドのファイルに書き足したのも、その形にするためです。AIの答えを信じるか疑うかではなく、確かめる手順を道具に持たせる、という考え方です。

よくある質問

AIに法律相談するのは違法ですか

自分の事業のために自分で制度を調べる目的でAIに聞くことと、他人の法律事務を業として扱うことは、別のものとして考えます。e-Gov法令検索で弁護士法72条を引くと、弁護士・弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を取り扱うこと(やその周旋)を業とすることはできない、と定められています(ただし書があります)。士業として顧客向けの説明にAIの下書きを使う場合や、他人の案件に関わる場合は、所属する士業会の規程や弁護士に確認してください。この記事では線引きを断定しません。

ChatGPTに税金の計算をさせてもいいですか

計算そのものより、計算の前提(どの年分か、何の控除か、課税事業者か免税事業者か)の取り違えで差が出ます。計算させるなら、使った税率・控除額の出典番号と対象年を出させ、国税庁のページで前提を確かめてから使ってください。自分や顧客の実際の数字を入れるときは、AIに個人情報はどこまで入力していい?の物差しも先に見てください。申告する金額は税理士に確認するのが前提です。

「出典を付けて」と頼めば、AIのハルシネーションは防げますか

防げません。出典が付いていても、その出典に書かれていない説明が混ざることがあります。役員報酬の「3か月」のように、国税庁のページを開いて、下書きの補足がページに無いと確かめた箇所がありました。だから、付いてきた番号を自分で開くところまでがルール1です。教材の100件超の指摘も、下書きをそのまま信じず、公式に当て直す前提でレビューした中で出てきたものです。

士業が顧客向けの説明資料をAIに下書きさせるときも、同じ確認でいいですか

3つのルールは同じで、2つ加わります。顧客の情報をAIに入れる前に契約・規約を確かめること(AIに顧客情報を入れていい?)と、法律の義務・当事者が契約で決めること・自分の提案を、資料の中で区別して書くことです。教材の制作でも、この区別を内規にしました。士業のAI活用の全体像は士業のAI活用マップにまとめています。

本記事は法的・税務的な助言ではありません。開業届・青色申告・役員報酬などの扱いは、自分の事業の状況・自治体・契約で結論が変わります。記事の内容は2026年11月時点で国税庁・e-Gov法令検索の原文を確認して書いていますが、制度は改正されるので、使う前に必ず原文を開き、税理士・社労士・弁護士などの専門家に確認してください。

AIに下書きと出典を出させ、自分は開いて照合する。この分担ができると、制度を調べる時間の使い方が変わります。講座では、Claude Code・Codexにこうした内規をCLAUDE.md・AGENTS.mdとして持たせ、毎回の下書きに効かせる作り方(ハーネスの整備)から扱っています。まず無料セミナーでお会いしましょう。

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