動画編集のルールの作り方|人にもAIにも渡せる編集レギュレーションを「7原則と数値の別表」で書く
先に結論です。動画編集のルールは、判断の原則・ルールの重み・数値の別表・AIが勝手に直してよい範囲・見本と出す前の自己チェックの5つに分けて、1つの正本にまとめてください(数値の別表と自己チェックは、正本から参照する付属の表でかまいません)。この形で書いておくと、外注の編集者に渡しても、Claude Code・CodexのようなAIエージェントに渡しても、同じ基準で編集してもらえます。みやっち🧑💻は、YouTubeの長尺動画の編集ルールをこの形で持ち、人が編集するときもAIに編集させるときも、この1枚を正としています。
動画編集のルール(編集レギュレーション)とは 動画編集のルール(編集レギュレーション)とは、テロップの書体・大きさ・色、カットの間の秒数、BGMや効果音の音量、場面ごとの見せ方などを、誰が編集しても同じ仕上がりになるように決めて書き残した文書です。動画編集のマニュアルと呼ばれることもあり、外注先への指示書としても、AIへの指示としても使えます。
外注で毎回同じ直しを伝えている人、自分で編集していてAIに任せたい人に向けて、書き方の型を順に紹介します。
動画編集のルールは「人にもAIにも渡せる1枚」にする
みやっち🧑💻が2026年10月19日の会員向けの週報で話したのは、AIに編集を任せたら、自分でPremiereを触って作ったもの以上の仕上がりになった、という手応えでした(本人の感想です)。理由として挙げたのが、もともと外注の編集者さんとやり取りしていた編集レギュレーションが、データとして残っていたことです。
週報での説明はこうでした。テロップとテロップの間の区切りを何秒にするか、次の章に移るときの区切りを何秒にするか。テロップの書体・大きさ・位置・強調の色。音量は全体とBGM・声・効果音をそれぞれ何dBにするか。全部を数字で決めてあるから、AIとの相性がいい。
編集ルールがあると、外注先にもAIにも同じ説明をしなくて済みます。逆に、ルールが「いい感じに」「見やすく」のような言葉だけだと、人は経験で補ってくれても、AIは毎回違う解釈をします。書き方の型は次の5つです。
手順1 判断の原則を先に7つ以内で書く
細かいルールより先に、迷ったときに戻る「判断の原則」を書きます。AIに編集を任せる手順をまとめた「7つの法則」とは別物で、編集ルールの文書の冒頭に置く判断の基準です。みやっち🧑💻の編集レギュレーションでは、冒頭に7つ置いています。
- 目線は1つ(図やカードが出ている間はテロップを出さない)
- 言っている物だけを見せる
- 言葉どおりの画面(「送る」なら送信の瞬間を見せる)
- スマホを縦で見る40代が読める大きさ
- 上品に(余計な色・注記・激しい動きを足さない)
- 前の回の確定版の作りをそのまま使う
- 切れ目で声を欠かさない・余計な声を残さない
原則どうしがぶつかる場面もあるので、優先順位も書いておきます。たとえば「大きく見せる」と「左上に見出しを出す」がぶつかったら、大きく見せるほうを取って見出しを出さない、という具合です。
原則は、これまでの直しを束ねたものです。個別のルールが書かれていない場面でも、原則があれば外注先もAIも同じ方向に判断できます。
手順2 ルールに重みを付ける(絶対と原則)
ルールをすべて同じ強さで並べると、どれを破ってはいけないのかが伝わりません。みやっち🧑💻の編集レギュレーションでは、行の頭に印を付けて2段階に分けています。
- ■=絶対:機械で止めるもの、または何度も強く直したもの。破ったまま渡さない
- 印なし=原則:毎回そうする。外すときは理由を記録に残す
「絶対」の例は、語尾の「す」「た」を切らない、テロップの文言を指示なしに言い換えない、個人情報や他社名を映さない、などです。絶対のルールには、確認する道具や手順もひも付けています。
手順3 数値は別表に分けて1か所で持つ
秒数や大きさなどの数値は、本文に散らさず別表にまとめます。本文には「なぜそうするか」だけを書き、数値は別表を正とします。値を変えたときは別表の行を上書きし、古い値は残しません。同じ数値が2か所に書いてあると、片方だけ直して食い違うからです。考え方はCLAUDE.mdとSingle Source of Truthと同じです。
みやっち🧑💻の長尺YouTubeの編集レギュレーションと数値一覧から、代表的なものを抜き出します(2026年10月時点)。
| 事柄 | 今の値 |
|---|---|
| 通常テロップ | Noto Sans CJK JP Black・白文字・紺の縁(#193684、外側7px)・1行15字程度・最大2行 |
| 画面収録の間 | 文の終わり0.45秒・読点0.15秒・句読点なし0.05秒 |
| 章タイトルのカード | 1.8秒(小見出しのカードは1.3秒) |
| 強調の回数 | 強い強調は1分に4〜5回まで・縁だけ赤は5分で3回前後 |
| 全体の音量 | 全体を+2dB |
| BGMの大きさ | 声より28.6dB小さい所から始め、耳で聞いて決める |
数値には「どの回の直しで決まったか」の出どころも添えています。根拠が分かると、外注先もAIも勝手に値を変えにくくなります。
手順4 テロップのルールは「指示なしに直してよい範囲」まで書く
テロップのルールで抜けやすいのが、文言をどこまで直してよいかです。みやっち🧑💻の編集でも、AIがテロップ87枚を言い換え、「勝手に変えなくていい」「『残すことができます』と『残ります』は意味が違う」と直したことがありました。
そこで、指示なしに直してよい範囲を列挙しました。
- 口癖・つなぎ(あの・はい・まあ)と言い直しを落とす
- サービス名は公式表記にする(コパイロット→Copilot)
- 読点は使わず、改行か次のテロップで区切る。「」は付けない。並列は「・」
- 1行15字を超えるときだけ、2行にするか分ける
- 画面に見えている文字と同じ文言は、テロップにしない
この範囲の外(語尾の言い換え・名詞止め・言葉の補い)は、指示がある所だけです。「直してはいけない」と書くより、「ここまでは直してよい」と書くほうが、迷う場面が減ります。
見せ方のルールも同じ書き方をします。たとえば、テロップの後ろに文字の多い画面があるときの座布団(背景)は、全部のテロップに敷いたときに「あり得ない」と直されたことがありました。そこで「まず寄せ方や時刻を変える。後ろの文字を消せない所だけ縁を黒にして、下にぼかしを置く」と、使う条件まで書いています。
手順5 見本と「出す前の自己チェック」を添える
言葉のルールだけでは、仕上がりの水準が伝わりきりません。合格ラインとして、過去の確定版の動画を見本に指定し、迷ったら見本の同じ場面に合わせる、と書いておきます。
もう1つは、出す前の自己チェックです。みやっち🧑💻の編集では、AIがやりがちなズレを問いの形で58項目にまとめています(2026年10月時点)。たとえば次のような問いです。
- テロップの文言を、指示なしに言い換えていないか
- 1つの画面を出している理由を、そのとき話している言葉で言えるか
- 語尾の「す」「た」「て」まで声が残っているか
58項目を毎回全部当てるわけではありません。毎回は短い問いと道具で確認し、58項目は迷ったときに引く辞書として使っています。ルールを問いの形に直しておくと、人もAIも自分で点検できます。
直しは書き戻してルールを育てる
ルールを作っても、直しはゼロにはなりません。AIに編集させても、人に編集してもらっても、出てきた直しをルールに書き戻して育てていきます。書き戻すときの決まりは3つです。
- 直した内容は、該当するテーマの節か場面ごとの型へ、重みを付けて1文で足す。「◯月◯日の回」のような回ごとの節は作らない
- 数値が変わったら別表の行を上書きする
- 文書は24,000字以下に保つ。超えたら、引用や経緯を回ごとの記録へ移して本体を軽くする
文書が長くなりすぎると、人もAIも全部を読み切れなくなります。上限を決めておくと、足すたびに整理が起きます。直しを型・道具・その回の記録に分けて残す回し方は、Claude CodeのSkillsを改善するにはに詳しく書きました。
外注の編集マニュアルをAIにも渡せる形にすると何が変わるか
状態の変化で言うと、こうです。
- これまで:ルールは外注先とのやり取りの中に散らばっていて、新しい編集者やAIに渡すたびに説明し直す
- 1枚にまとめたあと:同じ文書を外注先にもAIにも渡せる。直しは文書に書き戻すので、次の回はそこから始まる
外注している人は、すでに材料を持っています。編集者に渡してきた指示書と、修正のやり取りです。そこから原則・重み・数値・直してよい範囲を抜き出せば、ルールの骨組みができます。人が編集する場合も、ルールが整っていれば編集者は迷わず作業できます。
この作業にClaude Code・Codexが向いているのは、手元の指示書・修正のやり取り・過去の編集データを読ませて、ルールの下書きを作らせられるからです。作ったルールを読ませて編集させ、出た直しをまた書き戻す、というところまで同じ場所で回せます。AIで動画編集がどこまでできるかはClaude Code・Codexで動画編集はどこまでできる?に、AIに編集を任せる手順そのものはAI動画編集のやり方|7つの法則に、言葉にしにくい好みをAIに渡すやり方は暗黙知をAIに渡す方法にまとめています。
よくある質問
動画編集のルールは最初から全部書く必要がありますか
全部を書いてから始める必要はありません。最初は判断の原則と、テロップの書体・大きさ・色、カットの間などの数値をいくつか決めれば十分です。編集するたびに出た直しを書き戻していくと、ルールは育っていきます。業務の手順書をAIに作らせる考え方はマニュアル作成はAIで「作らせる」で書いています。
テロップのルールでまず決めることは何ですか
書体・大きさ(1行の字数と行数)・色と縁、そして文言をどこまで直してよいかの4つです。みやっち🧑💻の編集では、1行15字程度・最大2行、読点は使わず改行で区切る、と決めています。文言の直してよい範囲を書いておかないと、AIが言い換えてしまうことがあります。
編集ルールがあれば、AIの編集で直しは出なくなりますか
直しは出ます。ルールがあると同じ直しを繰り返す回数は減らせますが、新しい場面や新しい論点では直しが出ます。出た直しをルールへ1文ずつ書き戻すことで、次の回の出発点が上がっていきます。
自分の仕事のルールを書き出して、AIに任せられる形にする。そのやり方を講座ではClaude Code・Codexで実際に手を動かしながら扱っています。まず無料セミナーでお会いしましょう。




