GPTsのナレッジとは|入れる中身は2種類、コンテンツとパーソナルに分ける
結論から言います。GPTsや自作のAIチャットに入れるナレッジは、「何を答えるか」を担うコンテンツナレッジと、「自分らしく答える」ためのパーソナルナレッジの2種類に分けてください。教材を全部読み込ませたのに出力がいまいち、どこか自分らしくない。そう感じるとき、足りていないのはたいてい資料の量ではなく、2種類目のナレッジです。
GPTsのナレッジとは: GPTs(カスタムGPT)や自作のAIチャットに読み込ませ、回答の根拠として使わせる資料のことです。指示文が「どう答えるか」を決め、ナレッジは「何をもとに答えるか」を担います。GPTsのナレッジは、教材や添削などの中身を入れるコンテンツナレッジと、自分の価値観・口調・出力形式を伝えるパーソナルナレッジの2種類に分けて用意するのが基本です。
GPTsのナレッジと指示文は何が違うのか
GPTsの設定画面には、指示文を書く欄と、ファイルを入れるナレッジ欄があります。自作のAIチャットでも同じ2つを用意します(なお個人アカウントでは、GPTsを新しく作ることはもうできません。詳しくはGPTsが作れない理由)。2026年9月27日にみやっち🧑💻が講師を務めた「AIチャットつくーる リリース記念勉強会」では、AIチャットに入れる指示文とナレッジを次の線で分けて説明しました。
- 指示文: どう答えるか。使う人・目的・答える範囲を書く
- ナレッジ: 何をもとに答えるか。教材などの内容をまとめる
勉強会の実演では、Codexに手元の資料の整理を頼み、指示文1本とナレッジ5本ができあがりました。確かめた観点は「誰が使うのか」「何について答えるのか」「見せてはいけないものは何か」の3つです。当日の流れは、お知らせの勉強会レポートにまとめています。
ここまでは、GPTsの解説でもよく語られる話です。この記事が扱うのはその先、ナレッジ欄の中身をどう分けるかです。
GPTsのナレッジは2種類ある——コンテンツナレッジとパーソナルナレッジ
ナレッジ欄に入れる資料は、役割で2種類に分けられます。
| コンテンツナレッジ | パーソナルナレッジ | |
|---|---|---|
| 役割 | 何を答えるか(答えの中身) | どう自分らしく答えるか(話し手の人格) |
| 入れるもの | 教材、添削(社内向けならマニュアルやFAQも) | 価値観、口調、言わないこと、出力形式 |
| 集める先 | 講座資料・社内文書・PDF | 自分のSNS投稿、Discordやチャットワークでの自分の発言 |
| 無いとどうなるか | 答えの根拠がなく、一般論で返す | 中身は合っていても、教材の文体のまま返す |
多くの人が入れているのは左側だけです。教材やマニュアルをまとめてアップロードすれば、答えの中身は正しくなります。けれど、それで出てくるのは「教材が話している」状態で、あなたが話している状態ではありません。
教材だけ入れると、答えが「他人の口調」になる
みやっち🧑💻は、自社のAIチャット作成サービスで自分の分身AI(マイAI)を作って出力がいまいちなら、まずナレッジの種類を見直すことを勧めています。
教材だけを入れると、答えの中身は正しくても、話し方は教材の文体になります。教材を書いたのが自分でも、書き言葉として整えた文章と、普段の語り口は別物です。外部の資料を混ぜていれば、なおさら他人の口調になります。
逆に、口調のサンプルだけを入れても答えの根拠がありません。雰囲気は自分でも、中身が薄い返答になります。中身と人格を別々のナレッジとして両方入れるのが基本です。
そしてパーソナルナレッジとして、自分のSNSの投稿や、Discord・チャットワークに書いてきた自分の文章を持ってきて読み込ませると、出力の雰囲気が一気に変わるはず。これがみやっち🧑💻の見立てです。同じ中身を、自分の言い方で返せるようにするための材料になります。
パーソナルナレッジに入れるもの・入れないもの
パーソナルナレッジに入れるのは、次の4つです。
- 価値観: 何を大事にしているか。どんな考え方を勧め、どんな考え方を勧めないか
- 口調: 普段の語り口。一番手っ取り早いのは、自分が実際に書いた文章そのもの
- 言わないこと: 使わない言葉、扱わない話題、断定しないこと
- 出力形式: 結論から書く、箇条書きにする、長さの目安など
ただし、絶対に守らせたい「言わないこと」や答えない範囲、出力形式は、ナレッジに入れるだけでなく指示文にも明記してください。指示文は振る舞いを決める場所、ナレッジは参照する資料という役割の違いがあるからです。
注意したいのは、DiscordやチャットワークのテキストをAIに渡すときです。書き出したログには、他人の発言や、お客様の名前・連絡先が混ざります。パーソナルナレッジに必要なのは自分の口調なので、自分の発言だけを抜き出してから入れてください。どこまで入れてよいかの判断はAIに個人情報はどこまで入力していいかに整理しています。
実例: ナレッジを3枚のファイルに分けた設計
同じ考え方で、みやっち🧑💻は2026年9月27日に、自社の有料教材の購入者向けに「Claude Code・CodexでThreads投稿用のAI環境を作ってもらう手順」を設計しました。そこでは本人の情報を3枚のファイルに分けて作ってもらいます。
| ファイル | 中身 | 2種類との対応 |
|---|---|---|
| personal.md | 発信者・読者・目的・ジャンル・経験・口調・言わないこと | パーソナルナレッジ |
| content.md | 本人の体験・過去投稿・読者へ伝えたい工夫(確認日と出典を残し、事実とアイデアを分ける) | コンテンツナレッジ |
| product.md | 案内する商品・資料の有無、名前、対象者、案内先 | 案内したいものの情報 |
3枚目は、案内したい商品がある人のための分け方です。商品や資料が無ければ「なし」と書いておけば足ります。
あわせて、わからない部分を推測で埋めない、実績や体験を創作しない、といった作るときのルールも決めてあります。全体は、型は教材側から取り、口調と中身は本人の3枚のファイルから取る作りにしています。教材の型に沿いつつ、話し手は本人のままのAIにすることを狙った分け方です。
2種類に分けると、自分の分身として使えるAIになる
分ける前の状態はこうです。教材を丁寧に読み込ませたAIは、質問には答えるけれど、どこか他人行儀。受講生やお客様に渡すと、「先生っぽくない」返事になりがちで、自分で答え直す場面が残ると考えられます。
パーソナルナレッジを足すと、同じ中身を自分の言い方で、自分が普段選ぶ順番で返すAIになります。渡した相手から見て「この人に聞いている」と感じてもらうことを目指せる状態です。自分の知識を人に渡すなら、この差は大きいはずです。
中身と人格を分けて持つ、という発想は、ナレッジの話にとどまりません。作業の手順(スキル)と判断基準(ナレッジ)を分ける話はAIのスキル化で成果が出ない理由に、AIへ前提知識を渡す原則はコンテキストエンジニアリングとはに書いています。
よくある質問
GPTsのナレッジに入れられるファイルの容量・数に上限はありますか?
ファイル数や容量の扱いはOpenAI側の仕様で、変更されることがあります。この記事では数値を載せていないので、アップロード前にOpenAIの公式ヘルプで最新の記載を確認してください。なお、2種類に分けておくと、パーソナルナレッジは自分の文章から選んだ短いファイルで済むことが多いはずです。
社内マニュアル用のAIでも、パーソナルナレッジは必要ですか?
必要です。社内マニュアル用なら、マニュアル本体がコンテンツナレッジです。パーソナルナレッジには、会社としての言い方の見本(過去の回答例など)を入れます。答えてはいけない範囲や回答の形式は指示文に書きます。誰に見せるか・会話を誰が見られるかなど、作る前に決める6項目はチャットボットの作り方にまとめました。
GPTsは提供終了が案内されていますが、ナレッジを作る意味はありますか?
あります。OpenAIはGPTsの提供終了予定とプラグインへの移行を案内しています。日程と移行方法はGPTs終了とプラグイン移行の案内で確認してください。プラグインへ移行した場合も、ナレッジファイルは参照ファイルとして引き継がれると案内されています。そのうえで、ナレッジを手元のファイルとして2種類に分けて持っておけば、GPTsの外でもそのまま使えます。たとえばAIチャットつくーるのような別のAIチャットや、Claude Code・Codexの作業フォルダにも移せます。
器が変わっても、2種類の分け方は残る
GPTsのナレッジで出力を変えるのは、資料の量ではなく種類です。教材を何本足しても、話し手が自分でなければ、自分の分身にはなりません。中身はコンテンツナレッジに、価値観・口調・出力形式はパーソナルナレッジに。この分け方は、GPTsでも、別のAIチャットでも、Claude Code・Codexでも同じです。
せっかく自分の言葉がSNSやチャットに積み上がっているのに、それをAIに渡していないのはもったいない話です。自分の知識と語り口をAIに渡す作り方を具体的に知りたい方は、まず無料セミナーでお会いしましょう。



