MCPサーバーを自作するメリット|教材を配る側がGPTsの代わりに作った5ツールの構成
講座や教材を持っている人が、受講生にAIで使ってもらう方法はGPTsだけではありません。結論から言うと、教材を配る側にとって、MCPサーバーの自作は「推論費用を負担せず、APIキーも預からず、教材の型を受講生の作業場へ届ける」ための手段です。 みやっち🧑💻は2026年9月27日、自社の有料教材の購入者向けに、ツールを5つだけ持つMCPサーバーを作って本番で動かし始めました。
MCPサーバーを自作するメリット MCPサーバーを自作すると、自分のナレッジや判断基準を、受講生や購入者が普段使っているClaude Code・Codexから直接呼び出せるようになります。文章を考える推論は利用者側のAIが行うため、作る側は推論費用を負担せず、利用者のAPIキーを預かる必要もありません。

MCPそのものの定義はMCPとは(AIのためのUSB)に、既存のMCPサーバーをつないで使う方法はClaude CodeのMCP連携に書きました。この記事は作る側の話です。なぜ自作したのか、何を作ったのかを、実際のリポジトリの記録から書きます。
教材の配り方は3つある(GPTs型・ナレッジ配布型・MCPサーバー型)
2026年9月21日のAI週報で、みやっち🧑💻は教材の配り方を2つに分けて話していました。1つは教材をナレッジにしたGPTsを配る中央集権型、もう1つは受講生のAIカンパニー(自分のAIエージェント用フォルダ)に読み込んでいい教材を配る分散型です。
3つ目に気づいたのは9月26日です。ナレッジやツールを整備したMCPサーバーを立て、受講生がClaude Code・Codexから接続する形です。第一声は「これは思いつかなかったし、いい手だな」でした。
| GPTs型 | ナレッジ配布型 | MCPサーバー型 | |
|---|---|---|---|
| 受講生が使う場所 | 配る側が用意したチャット画面 | 自分のAIカンパニー | 自分のAIカンパニー |
| 受講生の一次情報と混ざるか | 構造的に混ざらない | 混ざる | 混ざる |
| 教材の中身の渡り方 | 画面の奥に置いたまま | ファイルごと渡す | 聞かれた部分だけ返す |
| 教材の更新 | 配る側で1か所 | 配り直しが要る | 配る側で1か所 |
| 使う側の前提 | チャット画面が使えればよい | AIカンパニーがある | AIカンパニーがあり、MCPサーバーをつなげる |
3つに優劣があるわけではありません。分かれ目は「受講生はチャットボットに相談したいのか、それともClaude Code・Codexが作業するときのナレッジや判断基準が欲しいのか」という問いです。前者ならGPTsや、みやっち🧑💻が提供しているAIチャットつくーるのようなチャットボットが合います。後者ならMCPサーバーです。GPTsの提供状況そのものはGPTsが作れないときの整理に任せます。
GPTsとMCPサーバーは何が違うのか(部屋に行くか、作業場に届くか)
みやっち🧑💻の整理では、GPTsは「みやっち🧑💻AIの部屋に行って聞く」ものです。受講生は自分の作業を中断し、別の画面へ移動して質問します。
MCPサーバーは逆で、教材を使う側(受講生や購入者)は自分の作業場から動かなくていいのです。その人のClaude Code・Codexが作業する途中で、MCPサーバーにあるみやっち🧑💻側の型や判断基準を取ってきて、手元の情報と混ぜます。
使う側のAIカンパニーには、本人の商品情報・顧客の声・過去の配信が入っているはずです。だから1回の出力で「みやっち🧑💻の型×自分の一次情報」が合成されます。GPTsでは構造的にできなかったことがここです。AIカンパニーの作り方はAIカンパニーの作り方にまとめています。
作る側から見たMCPサーバー自作の4つのメリット
- 推論費用を負担しなくていい。 文章を考える部分は受講生側のClaude Code・Codexが行います。作る側が払うのはサーバーの運用費だけで、そのサーバーは聞かれたことに答えるだけです。みやっち🧑💻いわく「じゃないと、みんなこんなにMCPサーバーを無料で提供しまくってるわけない」
- APIキーを預からなくて済む。 受講生のAPIキーを預かる設計は、みやっち🧑💻は取りたくありません。受講生の利用は、受講生自身が契約しているプランの範囲で動きます。利用者に課金してもらい作る側が推論費用を負担する自社のチャットボット製品とは、ちょうど逆の設計です
- ナレッジ一式を丸ごと渡さない。 MCPサーバーは聞かれたときに必要な部分だけを返します。断片は渡りますが、もともと有料教材として文字で読める内容を加工して返しているだけなので問題ない、という判断です。無料で広く配られているMCPサーバーとの違いはここにあります
- 分かれていたGPTsを1つにまとめられる。 これまで5つのGPTsに分かれ、ナレッジも分離していたものを、1つのMCPサーバーに寄せられます。作業に合わせた出し分けは、ツールの引数で行います
4つ目の「ツール」は、MCPの公式ドキュメントでは「AIが自分で判断して呼び出せる関数」と説明されている仕組みです。みやっち🧑💻の例えでは「MCPにおけるツールは、プログラミングにおけるメソッドみたいなもの」。公式にはほかにリソース(読み取り専用の資料)とプロンプト(定型の指示)という部品もありますが、今回作ったサーバーはツールだけで構成しています。
実際に作ったMCPサーバーの構成(ツールは5つだけ)
作ったのは、自社の有料教材「AI×Threadsの教科書」の購入者向けMCPサーバーです。購入者のClaude Code・Codexへ、編集済みの教科書の要点・投稿の型・表現ルールを返します。投稿の本文を書くのは購入者側のAIで、サーバーは文章を生成しません。
ツールは次の5つです。
- 教科書の要点を検索する。 見つからないことは補わず、出典を示して答える
- 投稿の型の一覧を返す。 認知・信頼・CVといった目的別に絞り込める
- 指定した型の本文と実例を返す。 投稿を書くときに呼ぶよう、ツールの説明に書いてある
- 表現ルールを返す。 禁止表現や煽りの線引きなど
- 書いた投稿文を機械的に検査する。 文字数・ハッシュタグ・Markdownの混入を見る
みやっち🧑💻は「この5つだけで教科書の内容をすべて取れるし、『1+1』や『1+5』などのパターンをもとに投稿文の作成もできる」と書いています。
購入者側の準備もセットです。購入者のフォルダに、本人の3枚のナレッジ(自分のこと・発信の中身・商品)と、作業手順のスキルを置き、投稿を書く前に必ずMCPサーバーの型とルールを呼ぶ運用にしました。今回はCodexアプリのプラグイン画面から、認証して接続するMCPアプリとして追加する手順で案内しました(Codexには設定画面のMCP serversや codex mcp add から追加する方法もあります)。
設計で決めた5つの約束
リポジトリのCLAUDE.mdには、次の約束を書いてあります。Claude Code・Codexに作業を頼むたびに、この約束の範囲で手を動かしてもらう形です。
- サーバーはLLMを呼ばない。 推論費用が発生しない理由はここにある
- 教材の知識はビルド時に静的なデータにする。 教材をデータベースに置いて引き出す作りにはしない(保存先を使うのは、認証の状態と利用の記録だけ)
- 認証前に教材を返さない。 購入者専用の接続キーで認証した人だけが呼べる(Codexでは接続時の認証画面でキーを入れる)
- 認証情報は保存しない。 接続キーや認証の送信内容は残さない。利用状況を確かめるための履歴(検索語・投稿本文・返答・IPアドレスなど)は、管理者だけが見られる形で30日間に限って保存する
- 自社のテンプレやブランド資料を丸ごと配布しない。 購入者向けに編集した配布原典の3ファイルだけを入力にする
もう1つ、教材の範囲を正直に返す工夫もしています。初版のデータは6テンプレートと13項目の編集要点で、動画全編などは入っていません。未収録のものを「取得済み」と答えないよう、検索の応答に収録範囲を付けています。 ここを作る側で止めておかないと、教材にない内容まで取得済みのように答えてしまうおそれがあります。
Cloudflare Workersの無料プランで動くのか(CPU時間の実測)
置き場所はCloudflare Workersの無料プランです。Workersそのものの説明やVercelとの使い分けはVercelとCloudflareの違いに書きました。
Cloudflareの公式ドキュメントでは、無料プランの上限は1日10万リクエスト(UTCの深夜0時にリセット)、HTTPリクエスト1回あたりのCPU時間は10msです。CPU時間には、ネットワークの応答を待っている時間は含まれません。
2026年9月27日に本番へ22リクエストを送って計測した結果は、CPU時間の中央値4ms・最大23ms・22件すべて成功でした。ただし10msを超えたものが6件あり、その多くは8本を同時に送ったときのものでした。公式ドキュメントには、たまに上限を超える程度なら許容する余裕があり、常に超えるようになると処理が打ち切られると書かれています。そのためリポジトリの記録でも、無料枠で常に余裕があるという保証にはしないと書き残しました。
みやっち🧑💻の感想は「Cloudflare力、上がってきて嬉しい」でした。
MCPサーバーの自作は誰に向くか
正直に書くと、MCPサーバー型はついてこられる人が限られます。使う側にClaude Code・Codexの作業場があり、MCPサーバーをつなげることが前提だからです。みやっち🧑💻自身も、構想の段階で「ここまで来るとついてこれる人が限定される」と書いています。
作る側も、プログラミングを知らなくていいとは言いません。今回は主にCodexに設計の約束を渡して作ってもらい、本番ではClaude Code・Codexの両方から5つのツールを呼び出して動作を確かめました。設計の段階で、みやっち🧑💻は「必要性が生じて実際に壁打ちしていくと、これまでの断片的な知識が1本につながり、理解も深まるし自分の実力も上がる」と書いています。
向いているのは、次の3つがそろっている人です。
- 講座・教材・判断基準など、配る価値のあるナレッジをすでに持っている
- 受講生や購入者が、Claude Code・Codexで自分の作業をしている
- GPTsを複数に分けて配っていて、1か所にまとめたい
よくある質問
MCPサーバーの自作はPythonでないとできませんか
Pythonでなくても作れます。今回のMCPサーバーはTypeScriptで書かれていて、Cloudflare Workersの上で動いています。言語は置き場所と作る人の慣れで選べばよく、みやっち🧑💻は主にCodexに作業を頼む形で作りました。
MCPサーバーを公開すると、教材がすべて流出しませんか
今回の設計では、認証前は教材を返さず、聞かれた部分だけを返します。ナレッジ一式をファイルごと渡すわけではありません。ただし返した断片は利用者の手元に残るので、もともと購入者が文字で読める範囲の内容だけを入力にしています。
利用者が増えるとサーバー代はどうなりますか
推論は利用者側のAIが行うので、作る側に推論費用はかかりません。サーバーの運用費は作る側の負担で、今回はCloudflare Workersの無料プランの範囲で動かしています。Workersと、認証の状態・利用の記録に使う保存先(Durable Objects)のそれぞれに無料プランの上限があるため、利用が増えたときは同じようにCPU時間を計測して確かめる必要があります。
自分の型を、受講生のClaude Code・Codexの作業場へ届ける。講座では、その土台になるAIカンパニーづくりから手を動かしています。まず無料セミナーでお会いしましょう。



